the unforgiving singularity
26人のダンサーが自分の信条と、どのようにして今の自分になったのかを語る。
”聞き上手”なカメラレンズを相手に、己を振り返り自分が自分たる所以を検証し、心理的ダイアグラムを映像を通して提示する。自分は唯一無二なのか?- 多分…しかし、それは原体験や語られたことのない物語を共有した時のみ事実となる:我々は皆平等に18%の炭素を含んでいるだ。
この作品内でのダンサーへ対する抽象的な質問はいくつかの扉を開き、独自の解釈に委ねらる。 自分が思っていた自分、本当の自分、またはなり得る自分 。そして矛盾した自分により造られた明確で突飛な夢に没入している自分に気がつくのだ。
監督からのコメント
“The unforgiving singularity”を製作することは今までにない経験でした。この映像に出演してくれたダンサー全員と私はアーティストとして豊かで親密な関係を築いてきました。当初、映像は舞台作品を完結させるためのパーツだったのです - ドキュメントとして、あるいはパフォーマンスとの融合、その他のアイディアもありました。しかし、パンデミックの影響で予定していた舞台作品をつくることは叶いませんでした。
私は常にパフォーマーのマインドに惹かれます。彼、彼女らの心理的情景がどのようなものでどのように感じるのか、それが事実でも作られたものだとしてもです。その点において、親密さは非常に大切なものです。そして、この作品を監督することによって私はそのことに新しい側面から気付かされました。私たちは常に、舞台上であれ日常であれ、お互いのメッセージを読み解き、伝えるための正しいツールを探し、研鑽しなくてはいけないのです。人はコミュニケーションにおいて選択すること、そして同意するという重大なことに意識的でなくてはなりません。そして、その先には正しい、間違っているということはないのです。
そして最後に。現在の世界を取り巻く環境はこのプロジェクトを制限するのではなく、より豊かにしてくれました。この作品を皆さんに見ていただくことを楽しみにしています。
Johannes Wieland
ドイツ・ベルリン出身。アムステルダム芸術大学卒業後、ベジャール・バレエ・ローザンヌのプリンシパルダンサーになるまで様々な振付家の元で活動。2002年、ニューヨーク大学にてコンテンポラリーダンス・振付で修士取得。同年、ニューヨークにてダンスカンパニー「Johannes Wieland」を設立。2006年よりドイツ・カッセル州立劇場の芸術監督となり、多数のダンスカンパニーや大学で
の振付、指導なども行う傍ら、振付作品が評価され国内外の様々なフェスティバルに招聘される。ベルリンで毎年開催されるコンテンポラリーダンス・舞台芸術フェスティバルb12の共同ディレクターも務める。ドイツの振付家賞“kurt jooss prize”最優秀賞ほか受賞歴多数。2016年、ドイツの優秀舞台芸術賞 “der faust” に「you will be removed」がノミネートされる。